会長 ご挨拶

kaicho

日本小動物協会の会長の重責を担わせて頂いています宮本です。
この度は、本協会のホームページをご覧頂き、誠に有難うございます。
この協会は内科療法に反応しない急性腎障害や慢性腎臓病の急性増悪に対して何ら有効な治療を行えない我々の現状を憂い、こうした疾患により死亡する伴侶動物を少しでも減らしたいと切望する獣医師が思いを一つにして集い、2009年に創設した任意団体です。

血液透析の歴史は1913の犬の実験から始まり、ヒトでは40年近くの技術革新を経て主に急性腎不全患者を対象に発達してまいりました。しかし、1960年代にScribner とCiminoにより外シャントと内シャントが開発されると、その治療は慢性腎不全の生命維持治療として全世界に普及しました。
日本はこの恩恵を最も受けた先進国の一つで、現在では31万人を超える腎臓病の末期患者がこの血液透析により命を守られています。

それに対し、伴侶動物である犬猫に対する近代血液透析は1990年代にUC DavisのCowgillにより確立されたもので、まだ20年ほどの歴史しかありません。
獣医学の先進諸国では腎臓病専門医がヒト用の透析装置を駆使して様々な体格の動物に血液透析を行っていますが、日本ではシングルパス方式の最新式血液透析装置が2009年から認可・販売されているにもかかわらず、その獣医透析学はいまだ確立されていません。
そこで、本協会では2010年より血液透析に情熱を抱く先生たちが症例を持ち寄り、その治療結果を検討する場として年次大会を開催してまいりました。
協会による当初の教育活動は急性腎障害に対する血液透析の技術的な側面に重点を置いたものでした。
その成果は短期間とは言え、血液透析を実施したレプトスピラによる無尿性急性腎障害患者が全て救命されるなど、目を見張るものがあります。
本年からは慢性腎不全末期の患者に対する長期維持透析に挑戦しておられる先生も現れました。
こうした、透析結果を解析すると、急性腎障害や慢性腎臓病の急性増悪における水分療法、栄養療法、透析効率の判定法などについて新しい知見を得ることができます。
また、透析治療を行えば行うほど、透析前後の内科療法の重要性を認識することもできます。
当協会では得られた会員からの情報を許可が得られた順から全て一般の獣医師に開示してまいりますので、その入手方法としてこのホームページをご利用頂ければ幸いです。

今後とも、日本小動物血液透析協会の活動にご理解とご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

履歴

■学歴

日本大学農獣医学部畜産学科卒業

1974年

日本大学農獣医学部獣医学科卒業

1977年

UC Davis Veterinary Graduate Division Comparative Pathology Department

1986-1989年

熊本大学医学部腎臓内科研究生

1997-2003年

日本大学生物資源科学部獣医学科研究生

2000-2003年

■取得学位

獣医学士

1974年

博士(獣医学)

2003年

■現在の専門分野
獣医腎臓病学
■職歴

エンジェル動物病院を熊本に開設

1979年

エンジェル動物病院を八代に開設

1989年

日本ヒルズコルゲート尿結石コンサルタント

2009年~

日本獣医腎泌尿器学会 副会長

2010~2014年

日本獣医腎泌尿器学会 監事

2014年

日本小動物血液透析協会 会長

2010年

■賞罰
永年所属表彰(熊本県獣医師会)博士号取得表彰(熊本県獣医師会)
■翻訳出版
「犬の腎臓学」 Bovee KC「犬猫の泌尿生殖器のX線学と超音波」 Akerman N

「臨床検査による小動物疾患の診断」Willard MD

「小動物臨床における輸液療法」 DeBartola SP

「小動物の老齢病」Goldston RT

「犬と猫の尿検査指針」Osborn CA